女性器切除はなぜ文化として存続しているのか:その目的と国際的批判

P
PAETNER編集部
公開, 更新 , 避妊・性感染症

日本には存在しませんが、世界には女性器切除という風習があります。この風習は女性器の一部を切り取るというもので、女性に少なからぬ苦痛を与えてきました。

女性器切除は国際社会で問題にされることがあり、ときには女性の生命を危険にさらす風習です。日本人にとっては馴染みのない女性器切除の風習について見ていきましょう。

女性器切除とは?

女性器切除(略称FGM)とはクリトリスの包皮や小陰唇など、女性器の一部を鋭利な刃物を使って切り取る風習です。女性器切除はアフリカおよび中近東などのイスラム教圏で見られます。

イスラム教の風習と勘違いされることもありますが、イスラム教の伝播以前から行っていた地域も存在します。例えば、アフリカでは2500年前から同様の風習は存在していました。

女性器切除は麻酔なしで行われるため女性の心身に苦痛を与える他、感染症や不妊のリスクもあります。加えて、施術の多くは女性が幼いうちに本人の同意を得るに行われるため、道義的な問題も無視できません。

そのため、女性器切除はユニセフなど国連の組織でもしばしば問題点が指摘されます。ただ、文化に関わる問題であるため、是非を問うてもなかなか決着がつかない状態です。

女性器切除を行う理由

女性器切除は何の理由も無しに行われているわけではありません。ただ、行う理由の多くは文化的な慣習に基づいており、実利的なメリットはほとんどありません。

行われる第一の理由として、女性の性欲をコントロールするためというものがあります。女性器切除を行う国では、女性器に施術を行わなかった場合に女性は過剰な性欲を見せて無軌道なセックスに耽ると信じられています。

これらはイスラム教圏を中心に信じられていますが、医学的な裏付けはありません。女性器切除を行わない国でも性欲旺盛な女性とそうでない女性が見られることからも、女性器切除と性欲の間には関係性はまだ認められていません。

女性器切除と性欲に関係があるのかについては研究結果が待たれるところですが、デリケートな問題であるうえ宗教的なタブーにも関わってくるため、簡単ではありません。

女性器切除に反対する理由としては、「女性に対するコントロールを強めるため」と言われています。この場合は、苦痛を与えて女性を屈服させることが女性器切除の目的だと考えられています。

この理由はある程度納得がいくもので、女性器切除が行われるアフリカやイスラム教圏では女性の地位が低い国が珍しくありません。ただ、立証が難しいため、この説は推測に留まっています。

実際のところ、女性器切除手術最も強い理由は文化的なものによります。つまり、「これまでそうしてきたから」、あるいは「行わないと示しがつかないから」というものです。

女性器切除の問題点

前述の通り、女性器切除という風習には少なからぬ問題点が横たわっています。これから文化として存続させるならば、指摘されている問題点をクリアした方が良いことは確かです。

まず、女性器切除は命の危険に関わる場合があります。医療レベルが不十分な国では不衛生な環境下で施術が行われる場合があり、感染症のリスクが高まります。

女性器切除によって起こる健康上の被害は施術時だけではありません。女性器切除の方法によっては、出産時に傷口が開いて多大な出血を伴ったり、雑菌が溜まって繰り返し感染症を発症することもあります。

心の傷も無視できません。女性器切除によって性行為や出産に恐怖心を抱く女の子も存在しますし、ときには重い心理的な不安定を引き起こすこともあります。

しかも、女性器切除のほとんど全ては本人たちの同意を得ずに行われています。子どもに少なからぬ苦痛を与えてまで存続させるべき文化なのか、慎重な議論が求められています。

女性器切除の是非

世界では女性器切除を経験した女性は30カ国にわたって存在しており、その人数は2億人はくだりません。女性ならず家庭を持つ男性にとっても女性器切除は他人事でない問題です。

これだけ広く行われている女性器切除に反対派は危機感を持っており、根絶運動を推進しています。一方、根強く支持する賛成派と衝突が起きることもあります。

女性器切除賛成派の言い分

2018年7月、ソマリアで女性器切除の手術を受けた十歳の少女が亡くなりました。BBCで報道されたこの事件では、死因は大量出血で施術から2日経過した死亡時には破傷風に感染していたことも分かっています。

痛ましいこの事件の波紋はソマリア国内にとどまらず、世界中の関心を集めました。それというのもソマリアでは女性器切除を憲法で制限してはいるものの、罰則が設けられていなかったためです。

加えて、死亡した少女の父親は娘の死を受け入れ、誰も訴えませんでした。娘が亡くなったにも関わらず、冷静な対応を見せる父親にも視聴者は戸惑いを覚えました。

女性器切除の賛成派は文化を理由に挙げて、その存続を支持します。そして、女性器切除という風習の賛成者はほとんど全てが男性です。

残念ながら上記のような事件は女性器切除を行う国ではどこにでもある話です。加えて、宗教的な問題が絡むため法規制がしにくく、議員も敬遠する傾向があります。

女性器切除廃止への取り組み

女性器切除は国連機関やNPOなどの人権派団体によって反対運動が続けられてきました。昨今では反対運動の機運が高まりにより、法規制を求める動きも出てきています。

女性器切除への反対運動は1980年代から進められ、1997年にはWHOなどの国連機関が合同で「女性器切除に関する共同声明文」を発表し、廃絶を宣言しました。

女性器切除廃止運動は着実に効果をあげています。2018年11月にはイギリスのノーサンブリア大学の研究チームが調査を行い、東アフリカで女性器切除を受けた女性の割合は1995年から2016年までの間で71.4%から8%まで減少していました。

2018年2月にはインド国内のイスラム教少数派団体のうち有志が、女性器切除を禁止するよう政府に求めました 。現在も政府と交渉が続けられており、もし成功すればインドは世界最初の女性器切除禁止国になります。

関連した記事

明治時代のセックス・性風俗・オナニー事情

明治時代といえば、明治維新によって近代化が進み、鎖...

2019年07月23日, 避妊・性感染症

赤線が生まれた経緯:現在でも赤線の姿を見ることはできる?

現在では耳にする機会も少なくなった「赤線」。今では...

2019年07月11日, 避妊・性感染症

飛田新地の遊び方:日本トップクラスの歓楽街でハメ倒そう

大阪府の飛田新地といえば東京の吉原と並んで有名な歓...

2019年07月26日, 避妊・性感染症